研究内容

本研究室では、

  • 探索などを活用した知的な処理を実現するアプリケーション
  • 大量の情報処理を高速に行うための大規模計算システム

の2つの側面から、様々な研究を進めています。

ゲーム情報学

マンカラ

将棋や囲碁でAIが人間を超えた、という記事は皆さんどこかでご覧になったことがあるでしょう。ボードゲームやカードゲームなどをコンピュータが上手にプレイするためには、先読みなどの論理的な思考が必要となります。また、人間が一緒に遊んで楽しいプレイをするためには、強さだけではなくプレイの多様さや個性、駆け引きや手加減などの要素が必要となります。コンピュータは多くのゲームで「強い」プレイをすることができるようになりましたが、それはゲームのある一面に限定されていることが多く、人間の方が「上手く」プレイできるゲームはまだまだあるのです。コンピュータにもそんな遊びができることを目指して研究をしています。

検討モード

ゲームは、複雑な組み合わせの中からの選択や意思決定、複数の利害や嗜好を持つものの間での調整、交渉など、現実世界の複雑さのエッセンスを蒸留して取り出したような構造を持っています。コンピュータにゲームをプレイさせることは、現実社会での様々な問題を計算機の力を借りて解決することにつながっているのです。

また、近年のコンピュータはゲームを「解く」ことについては人間を超えた面も多いでしょう。しかし、人間が楽しめるゲームを「作る」こと、人間に「教える」ことなどについては、まだまだ難しいことが多いです。現実世界で人間に対して働きかける、提案するようなコンピュータを作るために、ゲームなどを題材にしたコンテンツ生成技術が重要さを増しており、面白い研究分野となっています。

データ駆動

人流シミュレーション

データを大規模に集め、解析、活用することで価値を作り出す、データサイエンスと呼ばれる科学が発達しています。また、プログラミングにおいても、大量の実例から望ましい処理を実現する帰納的な構成方法が有効な領域が広がりつつあります。データを中心にアプローチの方法を考える、データ駆動的手法はますます重要さを増すと考えられます。

本研究室では、ドライブレコーダーや人流などの交通データを利用した解析、シミュレーションなどを通して、人の行動の理解や最適化を目指した研究に取り組んでいます。

大規模計算処理系

オンデマンドな分散計算

知的情報処理に必要な探索や最適化、シミュレーションやデータ解析などには大量の計算リソースが必要です。多コア化したCPUを効率よく利用する並列処理、安価な計算機を大量に利用する分散計算、計算リソースを高度に抽象化したクラウドコンピューティング、GPUなどのアクセラレータを利用した計算高速化など、様々な方法での計算処理を簡単に、かつ効率よく利用できるようなプログラミング環境を実現することで、高度な情報処理を現実的なものにします。