2024年3月6日~2024年3月8日に開催された「INTERACTION2024」において、学部4年生の江馬龍之介が「配色の可視化と配色技法の推定によるイラスト制作支援ツールの開発」というタイトルでインタラクティブ発表をしました。
論文情報
江馬龍之介, 横山大作. 配色の可視化と配色技法の推定によるイラスト制作支援ツールの開発. INTERACTION2024 3B27.
研究概要
イラストの色塗りにおいて配色は、作品の印象を決定づける要素の一つです。一般的に色を塗る際、イラストレーターは経験に基づいて色塗りを行っていますが、初心者は経験が浅いため配色バランスが崩れてしまいやすいと考えられます。そのため、使われている色の数や色相の配置を利用者が把握することが重要です。そこで、本研究ではキャンバス上の配色を色相環に可視化するとともに、意図に近いバランスの取れた配色技法を推薦して,同様に表示する手法を提案します。推定は代表的な6種類の配色技法の中から行うことにしました。配色バランスが取れているイラスト20枚に対して提案システムを試したところ,8割のイラストに対して正しく主要な色の抽出が行われ,キャンバス上の配色を可視化することが出来ました。また,6割のイラストに対して推定された配色が納得できる結果になりました。

上記の図のように、現在使われている配色技法の推定結果を黒色 、それに対しておすすめの配色技法を推薦を赤色で色相環上に可視化することで、配色技法を知らない初心者でも美しいとされる配色の色塗りを可能にしてくれます。
研究動機
初心者は色塗りの配色に慣れていないため、どの色を使うべきかの判断が難しいと考えられます。具体的には、赤色と橙色を使ってイラストを描いているときに、アクセントカラーとして何色を使うのが良いのかが分からない場合などが挙げられます。それに対し、色を塗っている最中に現在の配色とおすすめの配色技法を可視化することで、相性の良いアクセントカラーを選ぶことが可能になります。
提案手法

- キャンバスの色情報を取得
- 色情報から配色を推定
- 最も適していると考えられる配色技法を推薦
- 配色技法は上記の代表的な6つの配色技法から推薦
- 2,3の配色を可視化
ユーザーインターフェース
本研究で作成したユーザーインターフェースは、以下の二種類の方法で配色技法を推薦してくれます。

赤:使われている配色を修正したものを推薦するもの
(3色の配色→3色の配色技法の推薦など)

緑:使われている配色に新たに加える色を推薦するもの
(2色の配色→3色の配色技法の推薦など)
利用例

- 線画イラストに対して、自由に色を塗っていく
- 塗られた赤色に対して、ドミナントカラー配色とダイアード配色を推薦
- 塗られた橙色に対して、ドミナントカラー配色とスプリットコンプリメンタリー配色を推薦
- 塗られた水色に対して、スプリットコンプリメンタリー配色を推薦
- スプリットコンプリメンタリー配色のイラストが完成
評価

配色バランスが取れているイラスト20枚に対して提案システムを試しました。正しく主要な色の抽出が行われ,8割のイラストに対して使われている配色,6割のイラストに対して推薦された配色が納得できる結果になりました。
発表の様子
インタラクション2024の参加者は891名と近年最多であり、3日間を通して活発な議論を行うことが出来ました。

