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研究

3D都市モデルを利用して景観の良い経路を推薦する

2024年2月28日~3月1日(オンライン)と3月4日から5日(オンサイト)に開催された「第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2024)」において、修士2年の斎藤康平が、「3D都市モデルを利用した移動中の景観を考慮する観光経路推薦手法の検討」について研究発表を行いました。

  • 斎藤 康平, 横山 大作, 3D都市モデルを利用した移動中の景観を考慮する観光経路推薦手法の検討, 第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2024), 2024.3.5. (pdf)

昨今では自動車で遠隔地に移動する際は、カーナビや地図アプリなどを用いて目的地まで移動することが主な移動手段になっています。移動する目的としては、通勤や通学、私事、観光など多岐にわたります。通勤や通学を目的とした場合、カーナビなどから得られる最速経路や最短経路であれば、ユーザーの欲求を満たすことができると思われます。しかし、観光やレジャーなどを目的とした場合は、早く移動したいという欲求のほかに良い景観を眺めながら移動したいという欲求も考えられます。そこで観光を主目的とした景観の良い経路推薦手法を検討しました。

景観の良さを考慮した経路推薦手法は既に数多くの手法があります。例えば、DEMデータ(数値標高モデル)と呼ばれる3Dモデルを利用して、道路上から景観の対象が経路全体のうちどの程度見えているのかを評価し、最も景観の対象を見ることができる経路を推薦する手法があります。しかし、見えているからと言って同じ評価ができない可能性が考えられます。例として景観の対象を東京スカイツリーとしたとき、1枚目は東京スカイツリーのおおよそ全体が写っているためある程度景観が良いとできますが、2枚目は2枚目はツリーの根元部分しか写っていないため、あまり景観が良くないと言えます。

このような景観の対象の見え方に差をつけることができる評価方法を検討し、その評価に則った景観の良い経路推薦を試みました。

正確な景観を取得するため、国土交通省が主導するプロジェクトであるPLATEAUを利用して景観画像をレンダリングしました。レンダリングした画像を基に、景観の良さに関わりのあるいくつかの値を説明変数とし、人間が評価した景観の良さを数値化したものを目的変数としました。それに回帰分析を適用することで景観の良さを推定しました。

推定された景観の良さから経路全体の景観の良さを計算することで見え方を考慮した景観の良い経路推薦を行うことができました。

今回は景観の対象を東京スカイツリーに限定した経路推薦を行いましたが、景観の対象が複数ある場合や対象の建築物が横長である場合などに対応させる必要があります。今後は景観だけではなく、経路の運転のしやすさなどにも着目した経路推薦手法を検討する必要があると考えています。

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